マンネリ化という課題
アイスアックスの選び方において、最も大事な基準。それは見た目のカッコ良さだ。
…なんて言ってしまって良いかは分からないが、各社それぞれ個性的な製品を展開しているものの、アイスクライミングやドライツーリングの現場で見かけるモノは大体決まりきっている。
あっちもこっちも量産型だ。(いい意味で)
他人と違うツールを使いたいという気持ちはきっと多くの人が持っているだろう。とは言え、登攀具である以上、性能は決して無視できない。本当は見た目がカッコいいツールを選びたいところではあるが…

クライミングギアを愛する男
さて、そんなお悩みに応えるクライマーがあるときコンペに現れた。
埼玉県在住のクライマーZAKI氏だ。

ハードなアルパインクライミングや沢登りを楽しむ傍ら、ドライツーリングコンペでも好成績を上げている強者だ。
クライミングギアをこよなく愛する彼のツールはコンペでも一際目立っていた。
「それどこのアックスですか?」と誰もが訊ねはじめる。
今回はそんなZAKI氏のこだわりデコレーションアックスとそのコンセプトを紹介していきたい。
デコレーションアックス紹介
今回紹介するのは、”自然と融合”をテーマにオリジナルデザイン塗装を施した〈Nature Custom Axe〉シリーズ7作品だ。壮大なテーマに加え、どことなく匂ってくるファンタジー要素が男たちの隠し持つ中2心を刺激すること間違いなしだ。
作品No.1 プロトタイプ・バイオエルゴ【Prototype BIO-ERGO】
テーマは「Nature(自然)」という、実にシンプルなグリーンをカラーリングしている。初期の作品である。


作品No.2 バイオ・エルゴ エヴァ・カスタム【BIO-ERGO EVA Custom】
テーマは「Gravity(重力)」。エルゴ2代目であり、配色とカスタム・ネーミングは某アニメからオマージュされた。また、重力に関係なく、自由にかつ悠々と登攀できるよう願いが込められている。EVA…宇宙遊泳の意



作品No.3 スカイ・フュージョン【SKY-FUSION】
テーマは「Sky(空)」そして「自由の翼」。未だに根強い人気のあるブラックダイヤモンドのテクニカルアックス「初代フュージョン」。「どんな壁さえも乗り越えて、空高く羽ばたけるように」と願いを込めて現代に蘇らせた。尚、ZAKI氏はコンペにおいて、これをメインツールとして採用している。



作品No.4、No.5 サンダー・フューエル【THUNDER FUEL】、 ウィンド・フューエル【WIND FUEL】
テーマは「Thunder(雷)」、そして「Wind(風)」。そして、そこに見えるのは雷神と風神の姿。
ブラックダイヤモンドのフューエルをベースに、左右それぞれ異なるテーマでカラーリング。神力(じんりょく)を宿した道具は神器として扱われた、古(いにしえ)の道具をイメージ。





作品No.6 、No.7 ライト・ドリーム -雪鬼(セッキ)-【LIGHT-DREAM】、 ダーク・ドリーム -夜叉(ヤシャ)-【DARK-DREAM】
テーマは「Light(光)」と「Dark(闇)」。サブテーマに「仏教」そして「大日如来と不動明王」。
カシンXドリームに左右それぞれ異なるカラーリングを施した。ネーミングはカラーリングの「白と黒」、「強い者=鬼」から、インスピレーションを受け、「雪鬼」「夜叉」と名付けた。
強きかつ畏怖する鬼を諭し、従わせるとの意を込めて仏教(密教)界の最高位である大日如来を「雪鬼」に配置し、その対となる不動明王を「夜叉」に配置した。
※不動明王は大日如来の化身とされる。
※夜叉は金剛夜叉明王とも捉える。明王の中でも不動明王が中心的存在であり、金剛夜叉明王を従える。





画像内で一部スペルミスがあり、ここはご愛嬌とさせていただきたい。
終わりに
ZAKI氏の作品紹介、いかがだっただろうか。独特の世界観に魅せられる人もいれば、まったく受け入れられなかった人もいるかも知れないが、アイスアックスをオリジナルデザインに変えてみたくなった人がいたのであれば幸いだ。
今後、可能であれば続編として、塗装技術や作業工程なども紹介していきたい。