アックスのシャフトテープを考える

ironが送るドライツーリング 初心者のためのギア考察その2です、今回はアックスの咥える部分に巻くシャフトテープについて。

ドライツーリングとアイスクライミングで大きく違うものとしてアックスを咥える頻度があります。アイスクライミングではアックスを氷に刺しておけばアックスの持ち替えも自由自在なのですがドライツーリングではアックスを刺せる場所が皆無な上に、次に取りに行くホールド位置に合わせてショート・ミドル・ロングとアックスを持ち替える頻度が上がるので、必然的に手以外の部分でアックスを保持することが多くなるのです。

この記事ではアックスを咥える部分に巻くテープなどについて考えていきます。

アックスを咥えるのは技術

Kwon’s drytooling academyでもはじめに咥える練習をやったりするのですが、アックスを咥える技術はやっていればある程度スピードと正確性が身についてきます。

ただ練習してもなれないのが硬いアックスを咥えることによる歯のダメージなんですよね〜

ちなみに咥えることのメリットは持ち替えが素早くできて、コンペなどではトータルタイムに大きく寄与してくれることです。逆にデメリットも有り、アックスを咥えているとロープを口で咥えられないことや、落ちた時に歯を痛める(最悪折れることも)ことがあります。

咥える部分の養生は必須

歯は元々穀物や肉などある程度柔らかいものを噛むためにできており、アックスのように硬いものを噛みしめると滑るし不快だし痛みも走ったりします。

それを防ぐためにある程度クッション性のあるものを噛みしめる部分に巻いておくと、滑りにくくなり歯への刺激も少なくなって嬉しいことがたくさんです。ただ一口に養生と言ってもいろいろな流儀があります。

2021モンチュラカップでの実例

2021年のモンチュラカップで見渡したところ大多数の人がテニス用のグリップテープを使用していました。全員のデータを集められなかったので正確な統計データではありませんが8割〜9割がテニス用グリップテープ、1〜2割がその他の方法といったところです。

具体的な養生の方法

ここでは具体的なシャフトテープの巻き方について書いていきます。

左グリップテープ 右熱収縮チューブ

1.グリップテープ

テニス用のグリップテープをそのまま噛みしめる部分にまで伸ばして巻く方法です。

メリットは適度なクッション性とフリクションが良いところです。特にクッション性に関しては巻き方を2重3重にするなど工夫をすればかなり細かくコントロールすることができます。

デメリットは唾液が染み込むと後で触る時に不快だったり、アイスと並行するようなエリアではそれが凍りついたりします。また歯でテープが削れて口の中にカスが残るのもデメリットです。

私はアックスのグリップテープとしては使っていますが、今は咥えるシャフト部分には使っていません。

2.自己融着テープ

自己融着テープとは粘着剤の付いていないゴム質のテープで、伸ばしながら巻きつけるとテープ同士が融着して一体になってくれる不思議なテープです。昔のノミックでは2段めに標準で使っていました。

メリットは吸水性がないので唾液をふくもことがなく当然凍ることもありません。また耐寒性もよく、寒くても硬化しにくいのでアイスミックスなどで使うときは有効です。

デメリットはテープ自体が薄いためクッション性能を出すためには3重4重と厚めに巻かなければいけないところや、ゴムの匂いが嫌いな人は咥えることをはばかられるかもしれません。

3.熱収縮チューブ

個人的には一番おすすめですが、マイノリティーです。。。

メリットは継ぎ目がないので給水がほぼ0になるところ。それから筒状のチューブでそのままシャフトを覆うので、内側にいろいろなクッション材を入れることが出来るところです。

デメリットはちょっとフリクションが悪いところや値段が高いところでしょうか。

ちなみにアマゾンなどで売っている滑り止め付きの熱収縮チューブは咥えると粉が口の中に残るのでおすすめしません。

ironの考える最適解

屋内やコンペなど特定シーンのみで使用するのであればテニス用のグリップテープが最適解な気がします。ただしアックスをアイス兼用で利用する場合や、屋外でミックスクライミングもする場合などはテニスグリップだと濡れたグリップが凍ったり、泥が付いたりすることがあるので自己融着テープか熱収縮チューブを使用するのがおすすめになります。

私の場合はノミックをアイスなどの屋外でも利用するので、熱収縮チューブを使用しています。