たらこプリンセスカップ2023開催

2023年10月14日長野県たらこウォールにて女性選手限定のドライツーリングコンペティション「たらこプリンセスカップ-2023」が開催された。

2022年秋に同大会の第1回が開催され、今年で2回目の開催となる。

(2022年の開催レポートはこちら

今年度のプリンセスカップは、アイスクライミングワールドカップ(以下IWC)の女子練習会(※)を兼ねての開催になり、ルート設定もそれに準じたものとなった

(※)アイスクライミングワールドカップ出場予定選手、出場希望選手向けの合同練習。今回の たらこプリンセスカップは、IWC出場予定選手でなくても参加OK。

オブザベする選手達

たらこプリンセスカップ2023-出場選手

1. KUMIKO
前年度の優勝者。ディフェンディングチャンピオンとしてプリンセスの座を守れるか!
2. MICHIKO
前年度の2位。狙えプリンセスの座!
3. JUNKO
もはやお馴染み「銀嶺会」(山ヤ集団)のメンバー。山ヤの意地を見せてくれ。
4. MAHO
去年から参戦の注目の選手。コンペティターとしての進化に期待
5. AKIKO
去年から参戦の注目の選手。めきめきと進化中。
6. NAOKO.H
BETA CLIMBING GYMでこつこつ練習を積み重ねる8000m峰も登るクライマー。練習は裏切らない!

ルートセッター

HARUKO:2022-2023アイスクライミングワールドカップで年間総合7位の成績を納めたトップクライマー。

ルートセッターを務めたHARUKO

たらこプリンセスカップ2023 概要

予選ラウンドは、3ルートをフラッシュトライ。
決勝ラウンドは、1ルートをオンサイトトライ。
ともに、1クリップ目までにフォールした場合は1回に限りリトライ可能。
疑似クリップあり。


予選1:制限時間4分

90°壁をトラバースするルート。負荷は低いが、いくつかのホールドはピックの角度を変えないように保持する必要があり、気が抜けない。後半は天井に足を張ってぶら下がる箇所もあり、体幹の力が求められる。

他の選手より不利な条件の中、奮闘するNAOKO.H

ディフェンディングチャンピオンのKUMIKOが危なげなく完登。その他の選手は時間切れとなったが、時間いっぱいまで落ちずに登れているのは日頃の練習の成果であろう。

特にNAOKO.Hは、歯の怪我でアックスを咥えることができず、アックスの持ち替えを肩と指のみで行うというハンデがあり、圧倒的に不利な状況であったが、気迫の登りを見せた。

選手コメント

MAHO:1課題目ということで緊張とポカ落ちへの恐怖でものすごくスローな動きとなり、あっけなくタイムアップに。後半のDTSパートが面白いルートだっただけに、そこまで辿り着けず悔しいトライとなりました。
KUMIKO:ルーフのDTSが面白かった!
MICHIKO:キンチョーしすぎてカチコチな動きになってしまった。
JUNKO:DTSパートで体幹の弱さが露呈してしまった(汗)


予選2:制限時間4分半

120°〜135°の強傾斜をいくルート。全体的にホールドのかかりはよいが、中盤のすべりやすい三日月ホールドから、足元にあるアンダーをとる箇所が核心となる。最後の5手ほどは足場がなくなり、フィギュア4を駆使して渡っていく。

F9からムーブを繰り出すJUNKO

多くの選手が135度のメタルホールドでフォール、または足がマットに落ちたことにより失格となった。

選手コメント

AKIKO:体の下のホールドを取りに行く際の慎重なムーブが疎かでした。最近できるようになったF4/9パートに進みたかったです。
MAHO:後半の135°の傾斜壁で一気に強度が上がり、アンダーに降りるところで踏ん張りきれずフォール。スタミナ強化の必要をとても感じた。
KUMIKO:強傾斜に入るところが罠だったが、ホールドの良し悪しの強弱や、ムーブが多彩な面白いルートでした。


予選3:制限時間4分

スイス戦を想定した、石とメタルホールドで構成されたルート。序盤の120°壁パートから、かかり具合のわかりにくいホールドで大きな動きをする箇所があり、多くの選手が苦戦した。後半は傾斜が落ちるが、より繊細なフッキングが求められる。

初めての石ホールドにも上手く対応するAKIKO

石ホールドに慣れていない選手も多かったが、慣れていなくとも上手く対応できていた選手の姿も。特にAKIKOは、ディフェンディングチャンピオンのKUMIKOの到達点と同じホールドまで手数を伸ばし、高いポテンシャルがうかがえた。

選手コメント

MAHO: 初めて触るスイスの石ホールドにビクビクしつつ、地道に高度を稼いだもののタイムアップ。知らないホールドが沢山出てくるルートは登る機会が少ないので、とても学びが多く面白かったです。
KUMIKO: 石ホールドがふんだんに使われた贅沢な課題で、スイス戦を意識した好ルート!
MICHIKO: 石ホールドのオンパレードでドキドキしたのと、縮こまった動きが…。練習時の伸びやかな動きを本番で出していけるようにしたい。


決勝ラウンド-時間制限5分

韓国戦を想定したルート。前半の90°壁は登りやすいが、120°壁に移ってから徐々に強度が上がる。浅いホールドで引きつけてアンダーをとるムーブなど、実際の韓国戦でも出たムーブを随所に採用している。

パワフルな登りを見せるMICHIKO

決勝の結果は、完登こそならなかったものの、KUMIKOが他を寄せ付けない登りで圧勝し、チャンピオン(プリンセス)の座を守ることとなった。

KUMIKO、強し!!
著しい成長を見せたMAHO

選手コメント

AKIKO: 次のホールドにピックが掛からなかったときの対応が想定できておらずフォール。良い教訓になりました。ルートをもっと登りたかったです。
MAHO: 経験の少ないオンサイトトライで慎重になり過ぎタイムロスした部分も多くありましたが、大きなミスもなく自分のいま出来ることを積み上げて手堅く登れたかなと思います。
JUNKO:手堅く動いたことでタイムアップとなったが、今あるものは出せたと思う。

最終結果

順位名前
1位KUMIKO
2位MICHIKO
3位JUNKO
4位MAHO
5位AKIKO
6位NAOKO.H

たらこプリンセスカップ終了後のワークショップ

たらこプリンセスカップ終了後、ルートセッターを交えて各自の登りを振り返り、全員分の動画を見て登りを検証する時間が設けられたのも新たな試みだった。

ルートセッターから、ルートのポイント説明や戦略のアドバイスがあり、各選手のオブザベの仕方を研究したりと、積極的な意見交換が繰り広げられた。

コンペを終えて、各自の登りを振り返る
オブザベの仕方なども研究

プリンセスカップを終えて 

AKIKO

今回はクリップありの課題のため考えることが多くなり大変でした。
コンペの一発勝負で失敗しない登り方を少しずつ身につけていきたいです。

KUMIKO

ルートセッターが各選手の課題を分かった上で設定した、各大会の特徴も盛り込まれた予想問題集のようなルートでした。その後の練習にも良いルートばかりだと思います!

MICHIKO

来るIWCに向けてどんな練習がいいのかなとモヤモヤ…。IWC初戦まで残り少ない日数ですが、とにかく動く、怪我しない、キンチョーの解し方を研究する等々をやっていきたいです。

MAHO

どのルートも自分の弱点や特徴・性格が顕著に出て、今後の練習の方向性や強化のポイントを決めるのにとても役立ちました。他選手の登りもとても勉強になるものが多く、価値ある密度の濃い時間を過ごせました。このような機会を作ってくださったルートセッター及び関係者の皆様、ありがとうございました!

JUNKO

コンペとしても、IWC練習会としても、色々練り込まれたルートセットで、とても良い経験・練習になりました。セッターのHARUKO氏の手腕…さすが…。ありがとうございました!

NAOKO.H

全体的に女子だけだからだと思いますが、6月の「たらこチャレンジ」に比べると登りやすい設定と感じました。自分は、ダメダメで登れませんでしたが(汗)
参加者が増えて欲しいな~。そして、気楽に参加といいつつ、もう少し上手くならないとコンペは楽しめないと感じております。来年は事前の練習会とかあったら嬉しいかも


セッター:HARUKO

調子のよい選手もそうでない選手もいたと思いますが、みんなのよいところが存分に出た登りだったと思います!

撮影:Junkie隊長

各々がドライツーリングに手足を染め始めた頃から、見てきた娘達。
撮影をしながらモニター越しに見る、その素晴らしい動きに感動した!!
皆の努力を知っている者として感慨深いものがある。
まさに「継続は技なり力なり」である!!!

後記

今回のコンペに参加した選手達は、日々のトレーニングの成果を出すべく、全力で各ルートに取り組み、コンペ後のワークショップでも積極的に討論していた。順位という数字だけではなく、今後どのように練習していくか、自分のウィークポイントに向き合っていくか等々、前向きに語る姿がとても印象的だった。

ドライツーリングをやってみたいと思いつつ、なかなかその1歩を踏み出せない人も多いと思われる。躊躇せず、是非とも挑戦してみてほしい。

こういったコンペの参加を目指すもよし、外岩のドライツーリングをやるもよし、色々な形でドライツーリングを楽しむことができるだろう。