クルコノギ(ロシア)やICT(イラン)、Octaシリーズ(韓国)など、日本ではあまり馴染みのない世界各国のクライミングギアブランドを紹介してきた本サイトだが、今回は知る人ぞ知る中国の実力派ブランド「KAILAS(カイラス)」を紹介したい。
KAILAS(カイラス)とは?
アイスアックスやクランポン、アイススクリューをはじめ、登山靴、バックパック、ウェア、テント、シュラフに至るまで登山およびクライミングを総合的にカバーする中国のギアメーカーである。
2019年11月現在、日本での商品展開はされておらず、一部のクライミングコンペの入賞の景品としてわずかに出回っている限りだ。一方でヨーロッパや中国では一定の知名度があり、特に富裕層を中心に人気があるようだ。
日本での販売価格はまだ決まっていないものが多いため、一概に言い切れないが、価格帯は決して安くはない。品質の高さにも自信があるからこそのプライシングなのだろう。
また、商品展開の幅の広さでは、日本のモンベルに匹敵すると言っても過言ではない。とにかく取り扱いのジャンルの幅が広いのだ。
注目のアイスクライミングギアをチェック
ドライツーリング愛好家が最も気になるギアはやはりアイスアックスだろうか。まず紹介するのは、「ENTHEOS I I」だ。
ENTHEOS II
ENTHEOS(エンテオス)はギリシア語で「熱意」を意味する言葉だ。中国版のカタログでは「信念」という製品名が強く目を引く。
スペック値で580gだが、ウェイトを外すと525gになる。長さは48センチ。ペツルのノミックと比較すると、非常に短いことがわかるだろう。
ドライツーリングのコンペティションでは、致命的に短いサイズだが、その分抜群の取り回しやすさがある。日本のアイスクライミングシーンの中で、アイスアックスとしての評価をどれだけ高められるか非常に興味深いところだ。
Krantz
クランポンはKrantzという製品一種類のみ展開している。交換可能な縦爪で、デュアルポイントかモノポイントに設定することが可能だ。重量は868g。
用途や使い勝手はペツルのリンクスに近く、アイスクライミングやアルパインシーンでの活躍が期待できるだろう。
Swift
続いて、アイススクリュー。製品名はSwift。3種類展開しており、紅色が13cm・82g、黄金色が16cm・89g、緑色が20cm・97gとなっている。
同じ13cmで比較すると、ペツルのレーザースピードライトが91g、ブラックダイヤモンドのウルトラライトアイススクリューが74gのため、一流ブランドのハイエンドモデルに肩を並べるほどの軽量性は間違いなく評価できる。
ただし日本での予価が10,000円とのことなので、今後の正式な価格発表が気になるところだ。
その他にも幅広いカテゴリでの商品展開
ここからは写真をメインにレポートしていこう。
超目玉アイテム
最後に紹介したいのは、カイラス最大の注目アイテムである山岳用テントだ。
ダブルウォールテントのSS I I I。
内張りと外張りが同時にセットできることが特長で、大人2人のスペースを確保できる。重量は2kg。
特筆すべきはその価格である。
日本での予価は何と16,500円+税となっている。
高級ブランドからまさかの超格安アイテムが展開されることに驚愕だが、これも日本のマーケット開拓の戦略的プライシングなのであろう。
日本の気候や環境にどれだけフィットするかは不明であるが、ポテンシャルは十分に感じられる。
こちらも今後の正式な価格の発表に注目したい。
尚、軽量のダイニーマテントも展開される。
こちらは1.18kg。ツーエントランス構造。
予価100,200円+税となっている。
なるほど、製品の価格設定に大きなばらつきがあるようだ。
今後の動向に注目
いよいよ今冬に日本市場に登場するカイラスだが、今回紹介した製品はほんの一部に過ぎない。実際どんなギアが日本で展開されるのか今から楽しみだ。
また、今後クライミングイベントなどの会場で展示会が行われる可能性もあるため、引き続き注目していきたい。