2019年2月9・10日、フランスのシャンパニー・アン・ヴァノワーズでアイスクライミングワールドカップの第5戦が行われました。
youtubeのUIAAチャンネルに、セミファイナルおよびファイナルの動画が上がっています。
フランス会場は針葉樹林に囲まれた山の中、ひっそりと佇む逆三角形の構造が印象的でした。
上部には可愛らしい小屋とPetzlののぼりがありました。
日本からは第4戦に続き、女子2名が出場しました。
リード種目予選、竹内春子選手が20位、八木名恵選手が24位でした。
リード種目ファイナルの様子
リード種目セミファイナルの様子
スピード種目ファイナルの様子
リード種目:完登者続出のセミファイナル
セミファイナルは往々にして設定を難しくして、ファイナルで魅せるようなセットをするということが良く言われていますが、この第5戦ではセミファイナルで完登者が多く出る結果となりました。
男子ではファイナリスト8名中6名が完登。
女子ではなんと9名が完登となりました。カウントバックでBERTLING ENNI選手が9位となりファイナルの切符を逃しています。
課題はしっかりとアイスセクションが設けられており、ドライパートに戻る時に難しいムーブを要求してくるように思いました。
開催国のフランスチーム選手達は多数の声援に包まれてとても楽しそうに登っている姿が印象的でした。
唯一の選手
多数の完登者が出る中、完登という部分を抜きにして気になったのが、ブルガリアのPETKOVA RADKA選手です。
今回初めてセミファイナルに残り、11位という結果をだしました。
彼女は初戦とこの第5戦でエントリーしており、男子も含め唯一ブルガリアからの出場選手でした。
初戦は予選21位だったことから、今回かなりの大躍進だったのではないでしょうか。
リード種目:ファイナル
結果はご覧の通り。
リード種目男子
順位 | 選手名 | 国 |
---|---|---|
1位 | KUZOVLEV NIKOLAI | RUS |
2位 | PARK HEEYONG | KOR |
3位 | LADEVANT LOUNA | FRA |
リード種目女子
順位 | 選手名 | 国 |
---|---|---|
1位 | TOLOKONINA MARIA | RUS |
2位 | SHIN WOONSEON | KOR |
3位 | KLINGLER PETRA | SUI |
やはりKUZOVLEV NIKOLAI選手は強いです。かなり速く登っていました。
最終ホールドにタッチしたところでフォール。惜しくも完登とはなりませんでした。
アイスキングPARK HEEYONG選手にとってはまたしても2位と悔しい結果でしょうか。残り時間的にKUZOVLEV NIKOLAI選手より余裕があっただけにもったいなかったです。
地元フランス勢はLADEVANT LOUNA選手が3位で表彰台に。
ラドベントブラザーズは弟のLOUNA選手が安定して力を発揮しているように思います。
アイスクイーンTOLOKONINA MARIA選手が優勝。もはや「No Suprises.」。
決勝課題にまさかのオーバーハングアイスがありましたが、なんなく突破。
SHIN WOONSEON選手はオーバーハングアイスを超えたところでタイムアップ。
3位に入って来たのはフリークライミングでも活躍しているKLINGLER PETRA選手。序盤で慎重になりすぎたか、タイムアップとなってしまいました。
しかしセミファイナルでは1位で通過しているので今後に注目していきたいところです。Red Bullのヘルメットがトレードマーク。
結果決勝課題は完登者ゼロとなりました。
ほかの会場とは一味違う第5戦でした。
スピード種目セミファイナルとファイナル
まず先陣切って登場したのは竹内春子選手。
第5戦ともなると場慣れしてきているのか、頼もしい表情でした。
女子セミファイナルはファールスタートが相次いで起こりました。
フリークライミングのスピード競技ではファールは一発で失格ですが、アイスクライミングの場合はリトライ可能です。
男子セミファイナルではモンゴリアンのOTGONBAYAR SAIKHANJARGAL選手のパワフルストライドが良かったです。
ロシア選手とは少し違った登り方で、回転数よりも一手の距離が大きく、NEMOV ANTON選手の速度に追いつきそうな場面もありました。
決勝ラウンドに進んだロシア以外の国の選手で男子はイランから2名、フィンランドから1名、フランスはラドベントブラザーズの兄、LADEVANT TRISTAN選手が出場。
女子はアメリカ、フランスから各1名出場でした。
決勝ラウンドはセミファイナルともなると、お馴染みのロシア対決となり、選手が控えているテント内ではロシア選手同士が仲よさそうにしていました。
最終的に男子は安定のNEMOV ANTON選手が優勝。
女子はSAVITSKAIA NATALIA選手が今シーズン初優勝となりました。
スピード種目男子
順位 | 選手名 | 国 |
---|---|---|
1位 | NEMOV ANTON | RUS |
2位 | SUKHAREV ANTON | RUS |
3位 | IURLOV VLADISLAV | RUS |
スピード種目女子
順位 | 選手名 | 国 |
---|---|---|
1位 | SAVITSKAIA NATALIA | RUS |
2位 | FEOKTISTOVA EKATERINA | RUS |
3位 | BOGDAN VALERIIA | RUS |