人工ホールドへの基本的なアックスのかけ方を紹介します。
1.通常のフッキング
下方向へ荷重をかける最も基本的なかけ方です。ホールドに適切なポイント(かかりやすい穴)が設定されている場合が多く、そこに正確にフッキングできると安定性が増します。また、壁とホールドの隙間や、ホールドを壁に固定するためのボルト穴へのフッキングは禁止となっています。
ノミックやXドリーム等の一般的なハンドルタイプのアックスは、グリップ箇所が上下2段にあり、この持ち手を効率よく使い分けます。距離が遠いホールドを取りにいく場合は、伸ばす方のアックスの持ち手をロングで持ち、逆に保持する側のアックスの手はショートで持つことが効果的です。より効率の良いムーブを繰り出すために、ルート全体を見て、アックスの持ち手を調整しながら登ります。
ロング持ち、ショート持ちの使い分け
ホールドの形状によっては、アックスを正面からではなく横方向から入れる方が安定する場合があります。さらにアックスをやや手前に引くことでヘッドが壁に接し、より安定感が増す場合があります。ホールドをよく見ながら、アックスの向きや角度を調整することが重要です。
アックスを横向きにかける
また、岩稜帯でのフッキングは、人工ホールドとはまったく別物で、一言で説明するのは非常に難しいものです。岩の形状をよく観察して、探りながら慎重にフッキングします。(また別の機会に紹介するとします)
2.サイドのフッキング
横方向にフッキングできるホールドでは”サイドがけ”を用います。ホールドが近距離にある場合はアックスをショートで持ち、距離を伸ばしたい場合はロングで持ちます。また、アックスの持ち手は順手より逆手の方が距離が伸びます。アックスをかけている逆方向に重心を動かすようなバランスを保つムーブが必要になります。
また、縦型ホールドに対して、親指を下にして持つことをガストンと呼びますが、アックスの場合でも状況的に有効な局面があります。
3.アンダーのフッキング
上方向へフッキングできるホールドではアンダーを用います。ロングで持つと身体が壁から離れてしまうため、通常はショート持ちでかけます。
ヘッド(アックスの上部)が壁に接している場合は、テコの原理で身体が楽な体制を保ちやすく、レストポイントに向きます。その反面、アックスが固定されてしまうため、次の距離が出しづらくなります。
ヘッドが壁から離れる場合は、身体全体を上方向に引っ張りながら保持しなければならず、このような動きを”浮きアンダー”または”パワーアンダー”と呼びます。距離を出すためには体幹を使って身体を壁に寄せる必要があり、非常に強度が高いムーブとなります。
アンダーは岩稜帯ではあまり使う機会はなく、人工壁で多様されるフッキングとなります。
4.その他
アックス以外にも、手を使ってホールドを掴むことも可能です。特にガバホールドの場合は、アックスよりも手で掴んでしまった方が安定する場合があり、さらに手の方が身体を近くに引き寄せられる分、次の距離が伸ばせる等の利点もあります。また、ホールドのかけ方が分かりづらい場合は手を使って探ることも有効です。