ドライツーリングの基本ルール

ドライツーリングにおける一般的なルールを紹介します。

当然、コンペによってルールは変わりますので、あくまで一般的な事柄になります。もし大会に出場する上で気になることがあれば事前に大会主催者に確認してみることを推奨します。

道具について

用いる道具は、アックス1組、アイゼン1組、グローブ1組、ヘルメット、ハーネス、長袖長ズボンのウェアとなります。

基本的に道具は市販の物に限らず、自分で作成、改造した道具を使用できます。このあたりが”tooling”と称される所以であり、ドライツーリングの醍醐味でもあります。

ただし、アックスやアイゼンのサイズには規定があり、競技者はこの規定の範囲内で自分に合ったカスタマイズを行わなければなりません。

かつては許容されていたヒールスパーというカカトから飛び出している爪も現在は使用不可が一般的となっており、ルールは時代とともに変化し続けています。

使用可能な道具のサイズについては、UIAA(国際山岳連盟)のウェブサイトで確認できますので、最新版のルールを確認した上で道具を選定すると良いかと思います。

アックスの規定サイズはボックスに入れて確認
アックスの規定サイズはボックスに入れて確認
ブラックダイヤモンド旧ラプターに付属するヒールスパー
ブラックダイヤモンド旧ラプターに付属するヒールスパー

アックスはリーシュの使用を禁止。手で掴む他、肩にかけたり、口で咥えたりすることも可能です。地面に落下させた場合は基本的に失格になります。

アイゼンはフルートブーツと呼ばれる一体型のブーツを履くのが一般的です。先述の通り、ヒールスパーは一般的に禁止されており、前爪を壁に刺すか、フットホールドに乗せます。場合によってはアイゼンではなく、クライミングシューズで登る場合もあります。

SCARPA REBEL ICE (スカルパ レベルアイス)
SCARPA REBEL ICE (スカルパ レベルアイス)

グローブはゴルフ用のグローブを用いるのが推奨されています。

ヘルメット、ハーネスについては一般的なフリークライミングと差異はありません。

ゴルフ用グローブ
ゴルフ用グローブ

登攀のルールについて

スタートとゴールのホールドはマッチ(両手でアックスをかける)することが一般的で、このあたりはフリークライミングと同じです。ゴールに設置されたオブジェクトを叩くなどしてゴールと見なされる場合もあります。

よくある到達高度を評価するルールの場合、クリップ数、ホールドの保持、ホールドのタッチなどのアクションで加点されることが多く、簡単に言えば制限時間内でより高い位置を目指すことになります。

大勢が参加する予選では、ルートの完登数がより重視される場合もあります。また、同点の場合は登攀にかかった時間が短い方が評価されることが多く、正確かつ速く登ることもコンペでは重要な要素となります。

その他の注意点

ドライツーリング初心者が最も気を付けなくていけないことは、人工ホールドにアックスをかける際、必ず適切な箇所を探し当て、そこにアックスをかけることです。ホールドと壁の隙間にアックスを無理矢理入れることは例外なく禁止となりますので注意が必要です。

もう一つ。ドライツーリングは、どんなに上手い人でもアックスのかかりが甘いと不意に墜落する可能性が常にあります。可能な限り、安全を配慮して1ピン目または2ピン目までプリクリップ(最初からクリップしておくこと)をしておくことが推奨されます。もちろんプリクリップの考え方には賛否両論あると思いますが、フリークライミングより墜落の危険性があることを念頭に入れて、安全を配慮しながら楽しみましょう。