フルートブーツでの蹴り込みが可能なジムとして紹介した「Prost -Climbing Club-(プロストクライミングクラブ)」。
2022年春、このジムの屋内に新しくドライツーリング可能なラインが引かれた。
ようやく足を運ぶことができたので、今回はその体験レポートをお送りする。
オクトパシーを疑似体験?
ジムの奥へ進むと、天井から巨大な氷柱のようなボテが向かえてくれる。
ここにセットされたドライツーリング課題に早速トライしてみた。
傾斜壁からスタートし、ルーフへ入って数手進めてフィニッシュとなる。
課題はルーフに入る時に氷柱ボテを経由するラインと、それをショートカットするラインがあった。
まずはショートカットするラインを一度トップロープで味見。
詳細はネタバレとなるため省くが、ルーフに至るまでの道中もしっかりと削られる設定になっていた。
続いてリードでトライ。トップロープでの登攀と違って緊張感が非常に高まる。多少もたつきつつも、なんとかRPすることができた。
大休止をはさみ氷柱ボテに移るラインにもトライ。
トップロープで挑んだが、ボテに乗り移ってからの対処に苦慮しフォール…。
しかしこのボテに乗り移るという行為が非常に刺激的で面白い。
岩から氷に移る瞬間を想定して作られたのだろう。
まるでジェフ・ロウが初登したオクトパシーはこんな感じだったのだろうかと妄想してしまった。
なんにせよ美味しいところを味わえる良課題だ。
多くの人に是非トライしてほしい。
死中に活を”得た”ルーフ
今回新たにドライツーリング可能な課題がつくられたこのルーフだが、実は長らくホールドが付いていなかったと言う。
それは何故か?
プロストのユーザーはシニアと子供が大多数。
負荷の強いルーフの課題にトライする者はあまりいない状況だったからだ。
ならば使わないルーフはいっそ無くしてしまおうか…。
と、取り外しを検討していたと言う。
そんな中、ルーフを有効に活用できる可能性を見出したのがドライツーリングだったわけである。
ルーフの規模は7m程の長さで、幅は3m程だろうか。
まだまだホールドを設置するスペースはある。
今後も課題が増える可能性を秘めている。
ボルダースタイルのルーフでもドライツーリング
ジムの1階中央のスペースには、広大なボルダールーフが存在する。
この場所にもドライツーリング可能な課題が1つ設定されているので手を出してきた。
こちらはビレイの必要がないのでとても気軽だ。
そしていきなりルーフにトライすることができる。
ただし、延々とルーフを進むことになるので、かなり負荷が強い。
しかしドライツーリングは壁の強点をあえてついていくのも醍醐味の一つ。
フルパワーでガシガシと手を進めていく体験もまた面白く、思いのほか本数を出してしまった。
前述の通り、普段ルーフは触る人が少ないとのことなので、このルーフにももう少しドライツーリング可能な課題が増えることを期待したい。
唯一性のあるジム
屋内でドライツーリングのリードにトライ可能な営業ジムは、2022年春の時点ではこのプロスト以外にないだろう。
(公営のスポーツ施設としては北海道美唄市の体育センターがある)
そればかりか、ジムの屋外スペースにはアイス・ドライ壁があり、クランポンでの蹴り込みが可能であったり、天然石のクラック壁もそろっていて、各種スタイルのクライミングが楽しめる。
さらには様々なジャンルのものとコラボレーションイベントを開催しており、実験的な取り組みを続けている。
個人的にはラッパーを招待しての音楽イベントを開催していた点も元DJとしてはポイントが高かった。
今後もドライツーリング可能なラインが増えるよう、多くのドライツーリング愛好家に来てもらいたいジムだ。
利用方法
屋内のドライツーリング課題については、事前に予約が必要で営業時間外での利用となる。
また、ドライツーリングのリード経験があることも条件となる。
- 平日 7:00〜13:00
- 土日祝 7:00〜11:00、20:00〜22:00
※月曜は定休日
※要予約 TEL:0285-39-8450 またはインスタグラムのDMにて