潜入レポート!ドライツーリング入門〜夏の陣〜【イベントレポート】

東京・曙橋ベータクライミングジムで平日夜に定期開催されている超人気イベント「ドライツーリング入門」。
夏季シーズンに入り、講師の榎戸氏が不在のため、今回なんと「わっかセッション」でおなじみの古平氏がドライツーリング入門の講師として初登場となった。(2019年8月21日開催)
独特の感性を持つ実力派クライマーが果たしてどんな練習会を展開するのか?気になるドライツーリングファンに向けて、イベントレポートをお届けしよう。

The座学(20分)


冒頭、ドライツーリングの道具の特徴から、アイスクライミングとの違いについての説明が始まる。
榎戸氏のようなアイスクライミング、ミックスクライミングの歴史について語ることはないが、その分より選手側の視点での考察に興味を引く参加者は少なくなかったようだ。自身のピックの削り方、道具についての考え方など惜しみなく話してくれた。

フッキング体験(10分)


最初の練習は、両手でアックスを持ってホールドにぶら下がるだけの動きから始まる。まずはとにかくアックスに慣れることを重視する。
ホールドに2本のアックスをマッチする方法、1本を口に咥えて持ち替える方法もこのセクションで学ぶことができる。ここでは安全配慮についても説明が入る。

わっかセッション(20分)


一旦、アックスから離れ、古平氏の伝家の宝刀であるドライアイスツールという先端がゴムバンドのアックス(通称わっか)を用いたセッションが展開される。
まずは難易度の低い課題が用意され、素手では味わえない道具を用いた独特の登りを体験することができる。下方向に荷重をかける重要性、遠くのホールドを取りに行くときに使う腕の引きつけについても説明が付け加えられる。


また、暑いシーズンということもあり、途中で度々水分補給タイムが設けられた。

アックスルートに挑戦(25分)

いよいよアックスを持つ。その前にルート上にあるホールドのテスティングとなる。手で触って形状を確かめ、その上で効果的な向きのフッキングを各々に感じ取ってもらう運びだ。
1本目のルートはガバホールド主体とは言え、多少距離のある位置にホールドが配置されている点が特徴だ。わっかで習得した腕の引きつけが早速試される展開となる。
全員が一通り登り終わった後、講師自身が遠い位置のホールドを取りに行く際に有効なムーブを見せてくれる。

お手本ムーブの様子

再びのわっかセッション(15分)

再びわっかを用いて、先ほどよりもフッキング難易度の高いシビアなホールド主体のルートのセッションとなる。
参加者の希望もあり、ここではノーヒントでの真剣トライとなった。先ほどのアックスとは異なるツールの感覚に集中力を研ぎ澄ませ、際どいムーブを繰り出すこととなる。
そこにアドバイスを送る古平氏。会場のボルテージが徐々に上がっていく。

このセクションでは、シビアなホールドに対してムーブを起こす際は、出来るだけホールドの真下に入り、手前にアックスを引かないよう心がけることが重要とのことだ。

休憩(5分)

10分休憩とのアナウンスが入るも、夢中で登る参加者たち。結局5分程度で休憩は終了。
参加者のモチベーションの高さに古平氏も気合いが入る。

さらに難易度を上げる課題(25分)

次はアックスに持ち替え、より難しいルートのチャレンジとなる。
ここではじめてアンダークリングやヤンガー、シビアなメタルホールドが登場する。入門編とは思えないほど、パターンに富んだホールドが特徴的だ。

徐々にドライツーリング特有のムーブが増えはじめ、苦戦する人もいるが、それでも熱い声援が飛び交う。
全員が一通り登り終わった後の、お手本ムーブでは、浮きアンダーも紹介された。

傾斜練習(10分)


今度は垂壁から傾斜壁へ移動し、より強度の高いムーブが強いられる課題へ。
背中から落ちるリスクが高まるため、無理は禁物とのことで、75%までの力でトライするようにとアドバイスが入る。自分の力量を知り、ケガをしない登りを身につけるという裏テーマが見え隠れするセクションだ。
そして、やはり強傾斜ルートは簡単ではなかったようで、登れる参加者は半数ほどに絞られる。

フィギュア4チャレンジ(30分)


いよいよドライツーリングの花形ムーブであるフィギュア4練習へ。
まずはフィギュア4とフィギュア9の形を床に寝た状態で練習するところから始める。いきなり壁でトライせず、身体の使い方をしっかり覚えることに念頭を置いている。

その後、壁に向かってフィギュア4を繰り出す練習を行う。難なくこなしてしまう人はこれを連動したムーブの中で行う。

空中戦の世界への誘い(10分)


最後のメインディッシュとして、フィギュア9とフィギュア4の連動ムーブから吊られた角材を渡る課題にチャレンジする。最初に古平氏がお手本ムーブを見せ、それに続く参加者たち。
ハイライトとなるこのセクションでドライツーリングに魅せられた選手もいたかも知れない(?)

ファイナルラウンド(10分)


オマケとして、ワールドカップクライマーが傾斜壁に作ったルートを全員でセッションして、本日の総仕上げとなった。

最後に


木材への打ち込みによる擬似アイスクライミング練習など、今回まだまだ練習メニューは用意されていたようだが、あっという間に3時間が過ぎ去っていった。
毎回内容が盛り沢山となっているベータクライミングジムのドライツーリング入門に引き続き注目していきたい。
次回、潜入レポートにも乞うご期待。

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