待望の東京開催!Kwon’s drytooling academy in Tokyo【イベントレポート】

2019年6月7日(金)〜2019年6月9日(日)の3日間、東京・曙橋にあるベータクライミングジムにてKwon’s drytooling academy in Tokyoが開催されました。アジア各地でドライツーリングの講習会を展開するKwon Young Hye選手ですが今回で4度目の来日となり、日本では第3回となるアカデミー開催。そして、今回ドライツーリングに注力しているベータクライミングジムとのコラボレーションが成立し、待望の東京開催が実現しました。

3日間に渡るアカデミーですが、金曜の夜から始まり、土日の午前と午後それぞれ計5回のセクションが設けられました。初級者向けのイントロクラス、中・上級者向けのネクストクラスに区分されており、それぞれ申し込みが殺到し、満員御礼という状態でした。

さて、気になるアカデミー内容についてはそれぞれのクラス別に紹介していきます。

世界的トップ選手から直接指導してもらえる貴重な時間
世界的トップ選手から直接指導してもらえる貴重な時間

イントロクラスの内容

まずは超基本的なアックスのコントロール方法の説明から。ドライツーリングはアイスクライミングと異なり、アックスの持ち方に多様性があり、最初はこれの理解を深めることから始まります。
アックスを持ち替えるとき、口で咥えてたり、左右の持ち手を入れ替える動作が発生しますが、これの最も合理的な方法が学べます。
最近では3段アックスを筆頭に、持ち替えがしやすい形状のアックスが流行っていますが、このアカデミーでは、一般的なアイスクライミング用のアックスでも、持ち替えの基本動作ができれば、十分に戦える可能性を感じることができます。

続いて、メタルホールドやヤンガー(横がけ)用ホールドを用いた引きつけの練習が展開されます。引きつけという動作は、ドライツーリングにおいては基礎中の基礎になりますが、改めてその重要性とコツを学ぶことができます。

その後、垂壁を使って、テンポよく登る練習をひたすら行います。ホールドをマッチするパターンと、一旦口に咥えてから持ち替えるパターンを反復して練習します。
また、ホールドに足を乗せるリズムはクライミングシューズを履いていても、フルートブーツを履いているときの感覚に近いイメージでした。早く登ることより、テンポよく登ることが重要だということが強調されました。

垂壁での練習
垂壁での練習

最後に垂壁を使った簡単な課題をテンポよく登る練習を行います。フッキングが難しいという意味での悪いホールドはなく、正確にポイントをプッシュし続ければ外れないメタルホールドが課題の核心部となっており、これまで学んだ基本動作の集大成となっています。

ネクストクラスの内容

参加者のレベルも少し上がるこのクラスは、アックスのコントロール方法の講義は省略されており、垂壁での引きつけ練習からスタートします。

続いて、垂壁での簡単なルート練習に移行します。テーマはイントロクラスと同じく、テンポよく登ることが求められ、いかに無駄な動きをなくすかが重要となります。
イントロクラスと比べて、使用するホールドに多様性が出てきますが、ここではまだ強度の高いムーブは求められません。

この後、傾斜のある壁に移行します。ここから徐々に強度の高いムーブが出始め、ネクストクラスの本題が見え始めます。
まずは傾斜壁を使ったフィギュア4の練習を行います。ここでは、クライムダウンする際にフィギュア9の状態で身体を下げますが、このとき身体にかかる負荷が強く、これに耐えるための足置きや体勢の重要性が学べます。

ネクストクラスの課題ではフィギュア4が連続する
ネクストクラスの課題ではフィギュア4が連続する

続いて、足のない渡り板を用いて、フィギュア9、フィギュア4の連続ムーブを行います。これは空中戦と呼ばれるドライツーリングの花形ムーブですが、その基本的な動き方を学べます。まず、手首に足をしっかりかけること、そして空中に放り出している足を真っ直ぐに伸ばすことで身体を安定させることの重要性を体験できます。

フィギュア9、4の繰り返し
フィギュア9、4の繰り返し

そしていよいよ最終章。傾斜を使ったルートを登る練習を行います。ここからは非常に強度の高いムーブが要求されるため、ほとんどの参加者は完登することは難しかったようです。しかしながら、限界までフィジカルを追い込むことができ、普段は自ら止めてしまうような限界点を目指す過程で参加者は各々に自分の可能性と向き合うことができます。

余談ですが、ルートを完登できなかった場合はアックスを使った懸垂(筋トレ)をします。これはKwon選手の講習の目玉となっています。

最後までフィジカルを追い込む参加者たち
最後までフィジカルを追い込む参加者たち

まだまだ課題が体験できる!

イントロクラス、ネクストクラスそれぞれ3時間という短い時間でしたが、参加者は皆、充実した疲れを感じていたようです。

課題の一部はまだしばらくの間は残るとのことでしたので、今回参加できなかった方、これを読んで気になった方はベータクライミングジム3階のドライツーリングウォールにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

※利用するためには過去のドライツーリング講習への参加実績が必要のため、行く場合は事前にベータクライミングジムに問い合わせしてから行くことを推奨します。