女子限定ドライツーリングコンペ「たらこプリンセスカップ」開催

2022/10/1(土)、長野県上田市たらこウォールにて開催された、本邦初(?)女子限定ドライツーリングコンペ「たらこプリンセスカップ」の様子をお届けしたい。

各地からプリンセス集結

オブザベの様子

今大会は地元長野勢と東京勢での競技になるかと思いきや、何と北海道からも遥々2名の選手が駆け付けた。ドライツーリングコンペの常連選手はもちろん、1か月前に始めたばかりのニューカマーまで様々な顔ぶれが集結した。

尚、今大会のルートセッターはたらこウォールのスタッフでもある竹内春子と賀門尚士が担当。

プリンセス紹介

MAYUMI

北海道から参戦。普段はフリークライミング主体だが、最近はアックス女子としても頭角を現す。カイラス・ベータドライツーリングカップ2022では、ビギナー部門で男女混合の中、優勝を果たした実力者。

NAOKO.T

北海道から参戦。ドライツーリング歴1ヶ月にして、コンペに参戦する情熱的なアックス女子。美唄体育館で鍛錬した成果を発揮できるか?注目のスーパールーキー。

KAYO

バイクと沢登りを愛するアックス女子。コンペをキッカケにドライツーリングを始めるが、最近は二口峡谷や奥秩父など岩場でのドライツーリングにも注力している。

MAHO

日々、アイスポイント青梅で研鑽を積むアックス女子。練習熱心で現在急成長中。コンペティターとしての進化に期待。

AKIKO

硬派なアルパイン系登山女子…かと思いきや、この一年でドライツーリング沼にドップリ浸かったアックス女子。好敵手たちとともに飛躍的な成長を遂げる。

NAOKO.H

ドライツーリングコンペの常連になりつつあるアックス女子。山屋としても経験豊富。冷静で堅実な登攀が持ち味。今大会は上位進出に期待。

KUMIKO

国際大会でも活躍するアックス女子。小柄ながら持久力やスピードで男子選手とも対等に戦える実力者。地元長野開催のアドバンテージもあり、今大会の優勝候補筆頭。

MICHIKO

ドライツーリングコンペの常連で、経験豊富なアックス女子。パワフルな登りが持ち味で、今大会の優勝候補の一人。

JUNKO

女子精鋭アルパイン集団・銀嶺会の副代表にして、コンペティターとしても活躍するアックス女子。持久力が武器。こちらも優勝候補。

コンペ予選

予選課題はフラッシュ形式で3本。2分まではリトライ可能。

ルート1(制限時間3分)

ボテを手で掴むJUNKO

120°壁から90°壁へ渡り、再び120°壁に戻るルート。

距離は近いがintellect(粒状のフッキングポイントが多数あり処理が非常に難しいメタルホールド)をガストンで保持して降りるムーブ、ハリボテを手で保持して90°壁に渡るムーブなどが出現。

コンペ常連組のJUNKO、MICHIKOがまさかのフォール。コンペの魔物は今日も暴れるのかと思わせたが、リトライした後に見事に登りきって力を見せる。

KUMIKOは危なげなく完登。

続く選手はハリボテの保持に苦戦したが、90°壁に移ることに成功したNAOKO.HとAKIKOが4位タイにつけた。

ルート2(制限時間3分半)

予選課題2トライ中のKAYO

90°壁から120°壁を経て、最後はフィギュア4でキューブへ渡るルート。

JUNKOが地力を見せて完登。

続くMICHIKOはキューブで惜しくもアックスをロスト。

NAOKO.Hはキューブについたホールドの保持はかなわなかったものの、順調に高度を稼いで3位、ほぼ同高度でMAHOが4位につけた。

ルート3(制限時間4分)

パワームーブを起こすNAOKO.H

たらこウォール名物の135°壁から始まり、最後はルーフへ突入するルート。

5手目の見えないtop point(ロシア製の悪めのメタルホールド)にフッキングして120°壁に渡るムーブで多くの選手が苦戦する中、KUMIKOが力強い登りで完登。

ようやく緊張がとれてきたというMAHOがルーフ手前まで到達して2位。

NAOKO.Hは120°壁のa-hold(日本製の樹脂ホールド)で惜しくもフォールしたが3位に食い込んだ。

予選結果

予選3本が終わったところで1位はKUMIKO、2位は JUNKO、3位はMICHIKO。IWC出場経験のある3人が順当ににわとり組(上位3名で行われる決勝戦行き)となった。

ひよこ組(4位以下の選手で行われる決勝戦行き)の1位は、予選ルート2と3で3位に食い込んだNAOKO.H。続いて2位にMAHO、3位 AKIKO、4位KAYO、5位MAYUMI、6位NAOKO.Tとなった。

決勝戦

 決勝課題は1本、オンサイト形式。リトライ不可。

ひよこ決勝(制限時間5分)

一発勝負で力を発揮したMAHO

120°壁にちりばめられた石ホールドやメタルホールドを抜けて垂壁に入り、すっぽ抜けしそうなintellectを保持して丸太に移る箇所が核心となるルート。

MAYUMIが持ち前のフィジカルを発揮して高度を上げると、さらにAKIKOが粘り強い登りで最高高度を更新。

そしてMAHOが練習の成果を発揮して丸太までたどり着き、見事優勝した。

予選1位だったNAOKO.Hは序盤のアンダーでまさかのすっぽ抜けで5位となった(アックスの上段のさらに上を持ったことが原因と思われる。みんなも気をつけよう)。

にわとり決勝(制限時間6分)

今大会好調のKUMIKO

120°壁から90°壁、もう一度120°壁に戻って135°壁へ進み、最後の5手はハリボテをフィギュア4で渡っていくルート。

3選手とも順調に120°壁に戻ってきたが、その後のガストンムーブでJUNKOがフォール、キューブから壁に戻る箇所でMICHIKOがフォール。

KUMIKOは135°壁のシビアなムーブもこなし、完登が狙えるペースだったが、その後のintellectで惜しくもフォール。しかし最高高度で1位に輝いた。

リザルト

アックス女子全員集合

にわとりクラス

RANKNAMEPOINT
1KUMIKO20
2MICHIKO16
3JUNKO13.5

ひよこクラス

RANKNAMEPOINT
1MAHO16
2AKIKO14
3MAYUMI8.2

まとめ

なかなか女子枠で参加選手が集まらないドライツーリングコンペだが、今大会は各地から情熱的な選手が集まってくれた。

そもそもフィジカル的に強度の高いクライミングスタイルでもあり、楽しめる段階までに達するにはある程度のトレーニングが必要だ。このあたりは多くの女子にとっては厳しい面もある。

今大会に出場した選手たちも決して最初から登れたわけではなく、日々のトレーニングがあってこそ、今があるのは間違いない。

今後、少しでもドライツーリングに興味を持った方がいれば、(男女問わず)ぜひチャレンジしてみてほしい。

本記事の情報提供
文:竹内春子 写真:中島正人、阿由葉正徳