歴代チャンピオン集結!第5回ゴリラカップ【イベントレポート】

2020年12月5日(土)に東京・青梅で開催されたドライツーリングコンペ「第5回ゴリラカップ〜ぼっチャンピオンシップ2020〜」のレポートをお届けしたい。

まず、今回この謎に長いサブタイトルであるが、2020年3月に開催されるはずだった「モンチュラドライツーリングチャンピオンシップ2020」がコロナウィルス感染対策のため中止となり、それに代わる決戦の場として設けられた意味合いが強く、さらに後述するセッターの愛称から名付けられた大会名である。

ルートセッター

毎回ルートセッターが入れ替わるゴリラカップシリーズであるが、第5回となる今大会のセットを務めたのは、ぼっちゃんの愛称でお馴染みの森田修弘氏だ。

森田修弘氏

森田氏といえば、はじめてアイスアックスを握って僅か6ヶ月後に出場した国内のドライツーリングコンペで、ベテラン選手を脅かすパフォーマンスを発揮し、見事に準優勝を果たしたことが記憶に新しい。

最近は岩場にも足繁く通い、高難度のドライツーリング課題を次々と攻略しており、いま最も勢いのあるドライツーリング選手の一人である。

森田氏のコレクションも開放

注目の参加選手

今大会もクローズドコンペという位置付けで一般公募によるエントリーは行わず、これまで参加実績のある選手と、その選手からの推薦という枠の中で選手が集まった。

そんななか、特に注目したいポイントは、直近4年で行われたアイスクライミング・ドライツーリングコンペの国内主要大会のタイトルホルダー(男子選手)が顔を合わせたことだ。

歴代タイトルホルダー

年代選手名大会名
2016中島正人第10回アイスキャンディカップ
オープン男子優勝
2017森田啓太モンチュラカップ2017
オープン男子優勝
2018嶋田豊モンチュラ・ナナーズカップ2018
オープン男子優勝
2019橋本翼モンチュラドライツーリングチャンピオンシップ2019
男子優勝

毎年、チャンピオンが入れ替わる熾烈な戦いが繰り広げられてきたアイスクライミング・ドライツーリングのコンペであるが、優勝経験のある4選手が同じ大会に出場するのは、なんと今回が初とのこと。待望の直接対決となった。

コンペ内容

今大会は全3課題が用意された。

ルート1、ルート2は30手のフラッシュ課題であり、事前に参考動画が参加選手に配信された。

6分以内に30手ということで、1手あたり12秒とかなり時間的に余裕のある設定だが、完登必至な上級選手勢にとってはスピード勝負を意識せざるを得ない緊張感のあるルートとなった。

ルート3はオンサイト方式で、40手の8分課題である。最後はクルコノギの最新ホールドが設置されたことも見所である。

参加者のアックスはkrukonogiとice rock、ブラックダイヤモンドの3種類のみ。オクタやノミックの使用者が0人のコンペはこの4年間に例がない

スピード勝負のルート1

順当に上級選手たちが完登し、中島正人が最速タイムでトップ。そこに橋本翼、嶋田豊が続く。そんななか、ゴリラカップ初出場の伏兵宮崎正章が圧巻のパフォーマンスを見せる。ブルーにカラーリングされた旧フュージョンを巧みに使いこなし、完登を果たした。タイム差で上位3名を追う展開となった。

久しぶりにドライツーリングコンペに復帰した嶋田豊は圧巻のフィジカルを発揮する
新星宮崎正章の快進撃

魔物が潜むルート2

後半のホールドが厳しい設定になっており、より緊張感が増す雰囲気となった。

そんななか、優勝候補筆頭の橋本翼がルート終盤でまさかのミスを起こし、メタルホールドの餌食となってしまう。さらに嶋田豊はかなり慎重に手を進めていた結果、ゴール目前でタイムアップとなった。中島正人は終始安定感を見せ、ノーミスで完登した。

このルートで番狂わせを起こしたのは、今大会唯一の女性選手、銀嶺会の笹川淳子である。ルート1で振るわなかった状況のなかでも、ルート2は最後まで集中力を維持し、完登こそ逃したものの中島正人、嶋田豊に続く堂々3位という快挙である。

核心となるムーブ
核心を突破する笹川淳子(銀嶺会)

持久力勝負のルート3

40手オンサイト方式の最終課題もやはり三つ巴の戦いが続いた。嶋田豊はまたもゴール目前でタイムアップとなり、完登ならず。40手のゴールまで辿り着いたのは中島正人と橋本翼の2人のみだったが、わずか3秒差で中島正人が最終課題も首位の座を死守した。更に4位に32手の笹川淳子、5位に31手の森田啓太と、ベテラン勢がマスターズでは優勝に値するような30手超えの奮闘を見せた。

今大会まったく隙を見せない中島正人

リザルト

総合順位選手名課題1課題2課題3
1中島正人111
2橋本翼242
3嶋田豊323
4笹川淳子734
5宮崎正章457
6森田啓太675
7松永英知568
8田名網宣成876
9堀川恵一郎899
チャンピオン中島正人

セッター森田修弘氏より

今回は3課題、計100手の課題に挑戦してもらうエンデュランス勝負としました。
結果はある程度予想通りでしたが、しっかりばらけてくれてほっとしています。

次回、ゴリラカップは来春開催予定とのこと。

尚、Facebookグループ、日本ドライツーリングクラブにて本大会の動画配信が予定されているとのこと。気になる方は要チェック!