2020年10月24日(土)、東京・青梅のドライツーリングジム「ゴリラウォール」にて第4回ゴリラカップが開催された。
ゴリラカップは、毎回ゲストセッターを迎えて行われるドライツーリングのコンペティションであるが、4回目の開催となる今大会では、総勢10名(1名欠場)の招待選手が集まった。
今大会のルートセッター
今大会のルートセッターは、ゴリラウォール初登場となる嶋田豊氏である。
嶋田氏は強靭なフィジカルとテクニックを兼ね揃えるドライツーリング界のビッグネームだ。独自の改造を施したアイスアックス・スケルトンは、当時では画期的だったショートピックや三段持ちグリップをいち早く導入しており、ツールの研究においても第一人者的存在である。
UIAAアイスクライミングワールドカップ2018では、中国と韓国の連戦でそれぞれセミファイナルに進出。その後、モンチュラ・ナナーズカップ2018では、予選・決勝ともに2位以下の選手に圧倒的な力の差をつけて優勝を果たした。
当時、最強の日本人プレイヤーとの呼び声が高いなか、その後はコンペティションの第一線から離れている。
また、第2回岩根カップでは、メインルートセッターを務めており、ドライツーリングワークショップにも講師スタッフとして度々参加している。
今大会はルートセッターとして、久しぶりに表舞台へ帰ってきたことで、多くの注目が集まる。
<略歴>
- UIAAアイスクライミングワールドカップ OVERALL RANKING MEN LEAD 2017 44位
- 第1回岩根カップ 優勝
- UIAAアイスクライミングワールドカップ OVERALL RANKING MEN LEAD 2018 23位
- モンチュラ・ナナーズカップ2018 オープン男子 優勝
パワー重視のボルダー課題
ラウンド1ではドライツーリングのボルダー課題が4ルート設置された。1ルートを5分内に登り、1分のインターバルを挟んで4ルートを連続トライするという内容だ。
1ルートのホールド数はわずか3〜6手となっており、1手目から核心的ムーブを要求されるパターンが多い。つまりスタートを切る体制に入ることさえ容易ではなく、純粋なパワーが試されるのだ。
橋本翼が全完登、中島正人が3ルート完登、森田啓太と長谷川陽央が2ルート完登となった。順当にフィジカルの強さが結果に示される展開となった。
さらに擬似クリップを含む30手の長モノルート課題を制限時間5分以内で登り、ラウンド1は終了となるのだが、こちらは制限時間が非常に厳しく完登者は出なかった。
上級者を喰らう極悪ルート
ラウンド2はポイント係数が変わる実質的な決勝ルートであるが、全選手がトライできる運びとなった。課題は2つあり、制限時間5分以内の30手ルート課題と、6手のボルダー課題だ。
まずルート課題は、135度の傾斜壁で保持することが難しいメタルホールドが序盤から連続する。全選手が8手目以内のホールドで落ちるという、まさかの結果となった。
続き、ボルダー課題は、スタートホールドが悪く、1手目を出すところから核心となった。パワーで突破した選手と、比較的楽なムーブを閃くことができた選手に分かれたが、ゴールで待ち構える極悪ホールドは全選手の突破を許さなかった。
リザルト
順位 | 選手名 | 性別 | P t |
1 | 橋本 翼 | 男子 | 70 |
2 | 中島 正人 | 男子 | 64 |
3 | 長谷川 陽央 | 男子 | 49 |
4 | 森田 修弘 | 男子 | 43 |
5 | 森田 啓太 | 男子 | 42 |
6 | 笹川 淳子 | 女子 | 40 |
7 | 松永 英知 | 男子 | 35 |
8 | 田名網 宣成 | 男子 | 33 |
9 | 吉田 孝幸 | 男子 | 30 |
フィジカルの強さがなければ、まともに太刀打ちできない難関ルートで埋め尽くされた今大会であったが、コンペ翌日のウォール解放日では、参加者たちのセッションが大いに盛り上がっていたようだ。
ルートセッターの特色が色濃く出るゴリラカップシリーズであるが、次回開催もすでに決定したようだ。
また、次回より、招待選手以外でも参加表明できる機会が設けられる可能性がある(運営側で調整中)とのことだ。引き続き注目していきたい。