第2回アイスクライミングうでだめしコンペ@BETA CLIMBING GYM【イベントレポート】

2019年6月30日(日)、新宿・曙橋のBETA CLIMBG GYMで「第2回アイスクライミングうでだめしコンペ」が開催された。
昨年の第1回大会は平日夜に開催されたが、今大会は日曜丸1日かけたコンペだ。2階と3階のエリアをフルに使用し、決勝まで全19課題を登るという、第1回大会に比べるとかなりパワーアップした内容となった。
セッターはプロ・アイスクライマーの八木名恵氏と、BETA CLIMBING GYMの榎戸雄一氏。

熱い戦いとなった今回のコンペを振り返りたい。

コンペ概要

ROUND 1  100分  (セッション方式)
アイスツール(通称・わっかアックス)を使ったトップロープルートが2(各課題2トライまで可)
ボルダー課題 8(各課題4トライまで可)

ROUND 2  70分(セッション方式)
ボルダー課題 6 (各課題4トライまで可)

決勝 オンサイト方式
ボルダー課題 3(1課題につき制限時間2分)
※今回は全員が決勝進出

予選は圧倒的課題数による「うでだめし」

エキスパートの部(男子6名,女子3名)とファンクラスの部(男女混合3名)に分かれているが、予選はどちらの部門も同じ課題をトライ。決勝のみ異なる課題となった。ROUND1こそ比較的登りやすい課題が多かったが、ROUND2は強度の高いムーブを必要とする課題も組み込まれ、ぶら下げられた丸太(通称・マグロ)のみで構成されたフィギュア4/9の連続で移動してゆく課題は、回転するマグロにかなりの選手が苦戦した。

わっかルート
わっかルート
タフなうでだめしとなった予選
タフなうでだめしとなった予選

ニューヒーロー大躍進の決勝

<ファンクラス>
筆者はエキスパートの部に出場しており、オンサイト方式のため残念ながらファンクラスの熱きトライを見ることができなかったが、川越選手が見事優勝。「ドライツーリングを始めて9ヶ月、ようやく努力が実を結んだ」と喜びを語る川越選手、なんと御年70才(!)人間の可能性は無限であると思わせられる素晴らしい優勝であった。

<エキスパート女子>
ワールドカップ選手である竹内選手(予選1位)の独走かと思われた1課題目、竹内選手が完登できず、予選2位の選手が完登するという波乱が起きた。コンペに潜む魔物が…?と思ったのもつかの間、そこで魔物に捕まりきらないのはさすが世界を戦う選手、残り2本をきっちり完登し、見事優勝を飾った。
 尚、竹内選手は昨年10月の昭島コンペ以降、国内のドライツーリングコンペはこれで4連覇となる。

<エキスパート男子>
男子は波乱の闘いとなった。
1課題目は完登を逃した田名網選手だったが、2課題目、クルコノギ製メタルホールドからのトリッキーなスタートで多くの選手が離陸できない中、離陸に成功。2課題目の完登は、男子では田名網選手のみであった。ほかに2課題目の離陸に成功したのは、堀川選手と森田選手の2名である。
実は競技説明の際「課題によってはアックスとの相性に問題があるものもあるので、レンタルアックスも用意してますから自由に使ってください」とのアナウンスがあった。
2課題目のスタートは、アックスによっては全く止まらず、この特性に気づいた森田選手は、制限時間ぎりぎりのところでレンタルアックスに交換し、1手止めたところでタイムアップ。この1手が後の結果を大きく左右することになった。

3課題目は優勝候補と噂された古平選手のみ完登。しかしながら、優勝の女神は2課題目で1手進んだ森田選手のもとに舞い降りた。準優勝は2課題目の男子唯一の完登者である田名網選手となった。

男子エキスパート優勝の森田選手。ドライツーリング歴2ヶ月の選手とは思えないフィジカル
男子エキスパート優勝の森田選手。ドライツーリング歴2ヶ月の選手とは思えないフィジカルの強さ
トリッキーなムーブを攻略する田名網選手。練習の成果を発揮し、見事に準優勝に輝いた
トリッキーなムーブを攻略する田名網選手。練習の成果を発揮し、見事に準優勝に輝いた

表彰式では選手達に豪華な賞品が授与され、こうして1日かけて行われた熱き戦いは幕を閉じた。ルートセッター榎戸氏・八木氏の2人に、これでもかと言わんばかりに用意された19課題、その質、量に、どの選手も多いに満足したことであろう。今回出場できなかったドライツーリング愛好者達も、第3回は決して逃すことなかれ!

文:Junko Sasagawa
写真:Junko Sasagawa,ぼっちゃん

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