様々な世代に広まるドライツーリング。昭島ワークショップ【イベントレポート】

2019年4月20日(土)、4月21日(日)の2日間、東京・昭島で開催されたドライツーリングワークショップ。
今回も中島正人氏がメインルートセッターを務め、さらにモンチュラチャンピオンシップ2019で男子準優勝の森田啓太氏がアドバイザーを担当する豪華スタッフ陣での運営となった。

今回はじめてドライツーリングにチャレンジするという参加者が多く、2日間ともに満員御礼の賑わいとなった。基本的なムーブの練習ができる高さ3mのアップ壁が新たに設置され、アックスに不慣れなビギナーにも入りやすい環境が整った。また、今回は無料のレンタルアックスも準備された。

1日目レポート

2019年4月20日(土)は「昭島ドライツーリングワークショップ3rd Stage」というイベント名での開催となり、中島氏が昭島で企画するワークショップは今回で3回目。

クライミングシューズを着用して登る15m壁がメインルートとなっているが、フルートブーツの爪を刺せるコンパネ壁は今回も健在。参加者はそれぞれ自由に登れる形式を取っており、自然とアドバイスが飛び交うセッションとなった。

入門者に向けては、新設された3mアップ壁が大いに活用され、森田氏によるインストラクションが展開された。最初にアックスの持ち方や基本的なムーブから始まり、ロックオフやアンダーフッキング、フィギュア4など、足の位置や身体の向きなどの重要性を説きながら実用的なドライツーリングの基礎練習の場となった。

 

2日目レポート

2日目はミニコンペ形式の練習会となった。練習会とは言え、登った課題に対して成果の良かった参加者にはモンチュラはじめ、協賛企業から提供されたアイテムがもらえるということもあり、真剣勝負、チャレンジの場となった。

15mのメインウォールにセットされた3つの課題を中島氏がまずデモンストレーションとして登った。各ルートには制限時間が設けられ、到達高度に応じてポイントが入り、最終的に総合ポイントで順位をつけるルールである。

制限時間内で完登するためには、的確なムーブの選択とスピードが必要不可欠である。経験値の高い一部の選手たちはリズム良くルート下部をクリアしていく。さらにルート上部では、ドライツーリングの花形ムーブであるフィギュア4が求められ、迫力のある空中戦が繰り広げられると、会場のボルテージも最高潮に達する。
一方で初心者にとってはルート下部も容易ではなかったはずだ。それでも果敢に課題にチャレンジした参加者の情熱が会場を盛り上げたことは言うまでもない。

総括

今回のイベントでは、10代から60代まで幅広い年齢層の参加者が2日間で述べ50人集まった。
また、東京での開催であったにも関わらず西日本をはじめ、遠方からの参加者が目立った。

ある程度フリークライミングを経験している人の場合、アックスの使い方にさえ慣れれば、フリークライミングのムーブが応用でき、ドライツーリングのレベルアップが早い傾向がある。

今回、友達同士で参加したという大学生は、「アイスクライミングの入門として参加してみたが、ドライツーリングがこんなに楽しいとは思わなかった。継続して続けていきたい。」と、予想以上に楽しめた様子だった。

また、ボルダリング有段者で先日マイアックスを購入したばかりの30代女性は、「ドライツーリングができる環境は中々無いので、こういったイベントがあるとありがたい。もっと上達していきたい」と、笑顔で話し、その意欲の高さがうかがえた。

普段はフリークライミングやボルダリングを楽しんでいるが、クライミングの幅を広げようと、たまたまこういったイベントに参加したことを契機に、すっかりドライツーリングに魅せられてしまったというクライマーは実は多く存在する。
ドライツーリングのコンペティションで活躍する選手のほとんどがそれに該当する。

様々な年齢層に広がりを見せるドライツーリング。今後も新たなチャレンジャーたちを迎える場として、昭島イベントにも注目して欲しい。

写真提供・取材協力:TMGC