【コンペレポート】モンチュラ・ベータ ドライツーリングカップ2021

初の東京開催でのモンチュラカップ

昨年、開催中止となってしまったモンチュラ・ドライツーリングチャンピオンシップ2020だが、今年はこれまでの様式を大きく変えて、新しいスタイルでのドライツーリングの大会となった。

2021年03月28日、舞台は東京・曙橋にあるベータクライミングジム。
蹴り込みに対応した壁は備えていないため、足はフルートブーツではなく、クライミングシューズという大胆なルール変更となった。
また、今大会ではファンクラスとオープンクラスの2つのカテゴリが用意され、それぞれ男女混合(一部女性専用ホールドあり)という形式が採用された。

予選2課題は前日に試登動画が配信された。
ルートセッターは竹内春子氏。

参加者は首都圏を中心に、北海道や東北、関西など全国から熱意ある選手が集った。

手堅さか攻めか、問われる予選

ファンクラスとオープンクラスの課題は同じホールドを使い、オープンクラスはファンクラスの終了ホールドからさらに数手延長されたところに終了ホールドが設置されていた。
予選は2課題とも比較的登りやすい設定となっており、長物の課題に挑む持久力とともに、短めの持ち時間のなか登りきる登攀スピードが試される課題となっていた。

ファンクラス首位通過となったのは後藤選手。同クラスの選手の中でもひときわ登攀スピードが早く、終始安定したムーブをだしていた。
2位の纐纈選手、3位の佐々木選手がそれに続くかたちとなった。

オープンクラス首位は日本ドライツーリングクラブ総帥の森田選手。流石の登りだった。
続きプロ・アイスクライマー八木選手と同率で松永選手が決勝にコマを進めた。

スペースを有効に使った課題設定
揺れるパネルを渡る

予選1課題目概要

  • 制限時間4分
  • ファンクラス18手
  • オープンクラス25手

会場内を時計回りに回る1課題目。
垂壁→宙吊りのパネル→傾斜壁→強傾斜壁と遷移。
ファンクラスは強傾斜壁手前まで。

事前に配信された試登動画1

基本的なムーブがきちんと出来るか試されるセクション
コンペの魔物は今回も牙をむく

予選2課題目概要

  • 制限時間4分
  • ファンクラス17手
  • オープンクラス24手

会場内を反時計回りに回る2課題目。
傾斜壁→宙吊りのパネル→垂壁→マグロ渡り→強傾斜壁と遷移。
ファンクラスはマグロ渡り手前まで。

事前に配信された試登動画2

慎重に進めたい垂壁からのマグロ渡り
強傾斜で繰り出すアンダームーブ

課題の表情が一変する決勝

決勝はオンサイト方式で、会場を4分の3周ほどボルダースタイルでトラバースし、そこから降りずにロープをセットし上に行く課題となった。
オープンクラスは上部からさらにリード状態となり、天井のマグロを渡り対岸の壁が終了点となる。
制限時間は両クラス共に5分。

a-holdの新作ホールドがお目見え

国内で購入可能なドライツーリングホールドを製作するa-holdから、見た目に可愛らしいホールドが今大会の開催に合わせてリリースされた。
パステルカラーで小ぶりなサイズがポップな印象を与えるが、フッキングポイントには金属が埋め込まれており耐久性が上がっている。
垂壁ではガバホールドの部類となるが、傾斜の強いところに設置すればたちまちシビアなホールドになるという代物だ。

今大会では決勝課題の要所要所に配置されており、ファイナリスト達を待ち受けることとなった。

フッキング可能な径のサイズが15ミリと25ミリの2種類存在する

ファンクラス決勝

予選結果で同率順位がでたために、ファンクラス決勝は7名での戦いとなった。
予選課題とは打って変わってホールド間が広くなっており、特に最終ホールドにフッキングする一手では、思い切りの良さを試される課題となっていた。

傾斜壁からパネルへの移り

結果的には4名が完登。
予選2位からの逆転に成功した纐纈選手が優勝となった。
登りに不安定さはあったが、ダイナミックに突破していく姿が印象的だった。

2位は吉田選手、3位は猪俣選手となり、両名とも遠方からの参加者であった。
地元にはない人工壁でのドライツーリングがやりたいという熱い想いで、気迫の登りを見せていた。

4位となったのは女性選手でただ1人決勝に進んだ原山選手。
男女とも同じ課題設定の中、手堅く登り最後の一手もしっかりと高さを出し見事完登となった。

最終の一手

オープンクラス決勝

ファイナリスト5名が挑むのは、予選とは全く様子が異なる課題であった。
出だしから取り扱いに注意したいメタルホールドの続く強傾斜、マグロ渡りから垂壁へ移る際のアンダーの一手、ボテに張り付くボールホールド…と難易度が格段に上がったものだった。

割と遠い二手目

残念ながら完登者は出なかったが、マグロを渡り切り、ボールホールドからの一手が取れるかどうかで勝敗が分かれる結果となった。

苦戦を強いられるアンダー取り

優勝を飾ったのは鬼門となるボールホールドを唯一突破した松永選手であった。
ワールドカップ出場経験のある選手がいる中での逆転劇となり、今大会のダークホースとも呼べる選手の活躍には非常に驚かされる結果となった。

ボールホールドからの遠い一手

2位は森田選手。
ボールホールドを手で保持し、距離を縮め次の一手を出すも保持しきれず静かにフォール。

3位はプロ・アイスクライマー八木選手。
同じくボールホールドまでたどり着くが、次の一手の距離とフッキングポイントが合わずタイムアップとなった。

決勝リザルト

ファンクラス

順位氏名性別
1位纐纈 昭徳男性
2位吉田 宝男性
3位猪俣 栄治男性

オープンクラス

順位氏名性別
1位松永 英知男性
2位森田 修弘男性
3位八木 名恵女性

※各課題の到達高度やタイムなどの詳細な結果はベータクライミングジムのウェブサイトにて確認可能

結びに

コロナウイルスの関係で空白の1年を挟んでの開催となった今大会。
1発勝負に全力を傾ける場がまた帰ってきたことを実感出来た大会だっただろう。

今回大躍進した松永選手はコンペの1ヶ月前からは普段よりトレーニング量を増やし、自らに出来ることを黙々と続けていたと言う。
改めて、日々の積み重ねを怠らなければ、誰にでも活躍出来るチャンスはあると思える大会であった。

また、久しぶりに集う各地の愛好家と親睦を深め、次のシーズンに向けてそれぞれの目標を新たにする場ともなった。

次はどのような展開となるのか期待したい。