秩父に開拓された新たなるMIXルート”業(カルマ)”

2021年3月、埼玉県秩父市の中津川エリアに新たなるミックスクライミングのルートが登られた。ケイブ状の岩壁をトラバースしていくそのラインは、業(カルマ)と名付けられた。今回はこのルートを紹介したい。

ルート名に込められた思い

業(カルマ)とは、人間の善悪に対する行いを意味する言葉だ。

私たちの人生は、自分自身の行いによって、因果の道理にしたがって運命に導かれるという考え方である。クライマー自身の当時の人生観や心境を色濃く表現したルート名だと思われる。

エリア概要

中津川は知る人ぞ知るアイスクライミングの隠れスポットだ。このエリアにある30m氷瀑(この氷瀑は一部では「奈落」と呼ばれている)の脇に引かれた業(カルマ)のラインは、抜群のロケーションだ。

今シーズン、このエリアの開拓に注力してきた橋本翼氏によると、グラウンドアップで開拓をはじめて、自身の登攀成功までに8日間を要したという。

ルート概要

ルート全景

クライミングについての詳細は奥多摩・奥秩父アックス登攀部隊のYouTubeチャンネルの動画で確かめてほしい。※オンサイト狙いの方は、閲覧しないようご注意

チャンネルはこちら

前半は人工壁を彷彿させるような大胆なムーブが連発するドライツーリングセクションから始まり、中盤から氷柱を渡るテクニカルなアイスクライミングセクションが混じってくる。

序盤の岩壁は傾斜はそれほど強くはないが、非常に複雑な形状をしており、初見でフッキングポイントを見つけることは難しい。

また、アンダーやサイドフッキングを多用することで効率的なムーブを構築できる点が面白く、ここでは人工壁でのトレーニングが役に立つはずだ。

中盤以降は、アイスのコンディション次第で難易度が大きく変わってくるだろう。初登は3月だったが、氷結が安定する2月前半がベストコンディションになると思われる。

アイスセクションを抜けた終盤は、終了点までワイドクラックを泥臭く這い上がるスタイルになるため、気持ちの強さも試される。

尚、初登者の橋本翼氏は、終了点をクリップした後、マントルを返して完登としている。

詳細情報

ルート名:業(カルマ)

ボルト数:12本

FA:橋本翼(2021.03.03)

グレード:M9〜M9+(推定)

詳細なアプローチ情報はまだ公開されていないが、奥多摩・奥秩父アックス登攀部隊の情報公開を引き続き待ちたい。

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